リベール通信第特別号

【速報】情報部のクーデター計画潰える!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

◆女王陛下を救出◆
 昨日正午、遊撃士と王国軍親衛隊を中心とする一団
がグランセル城に突入。情報部による事実上の軟禁状
態にあったアリシア女王陛下を救出し、同部特務部隊
を制圧、王城を解放した。情報部司令リシャール大佐
news10-1
解放部隊突入の瞬間
 以下、同部の幹部はクーデター未
 遂の容疑で逮捕。これまで隠され
 てきた一連の事件の真相を、本号
 ではあますところなくお伝えする
 予定だ。

◆読者の皆様へ◆
 本号の見出しに驚かれた方も多いことだろう。
 これまで本誌では情報部の陰謀をあばくため、王城
の占拠、陛下の軟禁など、重大事の掲載をあえて先送
りにしてきた。突然の報道となったことをお詫びし、
併せて読者のご理解を乞う次第である。(編集長)

◆狙いはクーデター リシャールの陰謀◆
news10-2
リシャール容疑者
  情報部を創設した若き改革者――そ
 の仮面の裏に潜んでいたのは、用意周
 到にクーデターを進める計算高い謀略
 家の顔だった。
 リシャールの計画は、自らが率いる情報部を活用し
汚職や女性関係など王国軍上層部の「弱み」を徹底的
に収集することから始まった。この活動でリシャール
は短期間のうちに王国軍内部を掌握。モルガン将軍ら
清廉潔白な要人については、監禁など直接的な行動に
よって強引に動きを封じていく。

◆中央工房のテロ事件も情報部の犯行◆
 親衛隊逮捕の決定的な根拠となった中央工房でのテ
ロ事件も、リシャール指揮する情報部特務部隊の犯行
だったことが明らかになっている。つまり「青い軍服
」の兵士たちは、親衛隊に濡れ衣を着せるための完全
な偽装工作だった。事件の目的はある実験器材の確保
と導力器研究の第一人者ラッセル博士の拉致にあった
とされるが、事件の背景については現在も遊撃士協会
が調査中だ。

◆姫殿下までも人質に◆
 軍の大部分を掌握したリシャールは、いよいよクー
デター計画を実行に移す。アリシア女王陛下に代わっ
て甥のデュナン公爵を王位につけ、自身はその背後か
ら王家を支配する―――クローディア姫殿下を人質と
することで陛下に退位を迫るのがリシャールの目論見
だったが、ここでユリア中尉率いる親衛隊が謀略を察
知。姫殿下の身柄をめぐり、特務部隊と親衛隊の間で
激しい戦いが繰り広げられた。だが、数に劣る親衛隊
は敗北、クローディア姫を奪われてしまう。以後、親
衛隊はテロリストの汚名を着せられ、地下に潜伏せざ
るを得ない状況に追い込まれる。もはや障害はなく、
クーデターの成功は時間の問題となった。

◆意外な英雄の登場◆
 だが、思いがけないところから光が差し込む。
 とある人物たちが、特務部隊の警備をすり抜け城内
へと潜入。さらに軟禁状態にある女王陛下と面会する
ことに成功したのだ。遊撃士協会の意向もあり、ここ
で彼らの詳細を書くことは差し控えるが、ともかく情
報部の規制により情勢がつかめていなかった協会は、
彼らのもたらした情報によって初めて事態を把握する
ことになる。そして以後、遊撃士協会が情報部に対抗
する勢力の中心となっていく。

◆エルベ離宮、そして女王陛下の解放◆
 遊撃士協会は潜伏していた親衛隊のユリア中尉らと
合流。まずは深夜の共同作戦によってエルベ離宮を解
放し、クローディア姫殿下を始めとする人質の救出に
成功する。
 そして昨日、グランセル大聖堂の正午の時鐘を合図
に、空中、地上、地下の3方から、遊撃士と親衛隊を
中心とした救出部隊が王城への突入作戦を敢行。
 情報部に操られた王国軍の制圧部隊が迫る中、グラ
ンセル城内とその地下にかけて特務部隊との死闘が展
開された。やがて、ついに遊撃士がアリシア女王陛下
を救出。ほぼ同時刻、間近まで迫っていた王国軍部隊
も、監禁を脱し王都に急行したモルガン将軍の説得に
より前進を停止しようとしていた――リシャールと情
報部によるクーデター計画は、こうしてまさにぎりぎ
りの瀬戸際で阻止されたのだ。

◆名もなき人々の力 突入部隊の素顔◆
 ここまでの記事から明らかなように、情報部の野望
を打ち砕いたのは1人の英雄の力ではない。名もなき
人々の小さな勇気の積み重ねが、最後には巨大な陰謀
を阻止するだけの力を生み出したのだ。
 女王陛下を救出した突入部隊の顔ぶれも、そのこと
を強く物語る。親衛隊や遊撃士に混じって、中には幾
人かの民間人の姿もあったという。実はこの最後の戦
いにおいても、解放側に集まった戦力は到底十分とは
いえない状態だった。その不足を補ったのもやはりこ
れら市民の勇気だった。
 かくいう記者も、そうした勇気に支えられていた者
の1人だ。中でも2人の準遊撃士には特別な感謝を捧
げねばならない。彼らなしでこの事件を記事にするこ
とは不可能だった。今その最後を書くにあたり、改め
て感謝の念を強くしている。遊撃士協会によれば、ま
もなく彼らは待望の資格を与えられる予定だという。
この先は記者個人の伝言になるが、王国を救った英雄
たちに免じ、どうかご容赦を。

 おめでとう! 心から祝福する――
 カレーでよかったら何杯でもおごるぜ。(N)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

【社会】親衛隊の名誉回復 部隊を再編
 反乱者、テロリストの汚名を着せられ、各地に潜伏
していた親衛隊の名誉が回復された。軍作戦本部は本
日中にも正式に親衛隊の再編を決定、ユリア中尉以下
全員が原隊に復帰する見通しだ。

【社会】モルガン将軍 作戦本部長に
 市民の楯となるべき軍の一部部隊によるクーデター
計画――国家の存亡に関わる重大事件を未然に防げな
かった王国軍は、組織の建て直しが急務だ。
 王国会議はすでにモルガン将軍を中心とした再建策
を提案。王国軍もその意向に従う方針で、将軍は近く
軍作戦本部長に就任する見通しだ。またその補佐役と
して、《百日戦役》で将軍の右腕となって活躍したカ
シウス・ブライト元大佐の復隊も発表された。元大佐
は戦役後に除隊、その後は遊撃士協会に活躍の場を移
していた。

【社会】《四輪の塔》で異変!?
 昨日午後、王国各地から「不思議な光を見た」との
報告が多数寄せられた。《四輪の塔》の頂上から光線
のようなものが発射されたという。現在は調査を待つ
状態であり、詳しいことは分かっていない。