【速報】情報部のクーデター計画潰える! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆女王陛下を救出◆ 昨日正午、遊撃士と王国軍親衛隊を中心とする一団 がグランセル城に突入。情報部による事実上の軟禁状 態にあったアリシア女王陛下を救出し、同部特務部隊 を制圧、王城を解放した。情報部司令リシャール大佐
◆読者の皆様へ◆ 本号の見出しに驚かれた方も多いことだろう。 これまで本誌では情報部の陰謀をあばくため、王城 の占拠、陛下の軟禁など、重大事の掲載をあえて先送 りにしてきた。突然の報道となったことをお詫びし、 併せて読者のご理解を乞う次第である。(編集長) ◆狙いはクーデター リシャールの陰謀◆
汚職や女性関係など王国軍上層部の「弱み」を徹底的 に収集することから始まった。この活動でリシャール は短期間のうちに王国軍内部を掌握。モルガン将軍ら 清廉潔白な要人については、監禁など直接的な行動に よって強引に動きを封じていく。 ◆中央工房のテロ事件も情報部の犯行◆ 親衛隊逮捕の決定的な根拠となった中央工房でのテ ロ事件も、リシャール指揮する情報部特務部隊の犯行 だったことが明らかになっている。つまり「青い軍服 」の兵士たちは、親衛隊に濡れ衣を着せるための完全 な偽装工作だった。事件の目的はある実験器材の確保 と導力器研究の第一人者ラッセル博士の拉致にあった とされるが、事件の背景については現在も遊撃士協会 が調査中だ。 ◆姫殿下までも人質に◆ 軍の大部分を掌握したリシャールは、いよいよクー デター計画を実行に移す。アリシア女王陛下に代わっ て甥のデュナン公爵を王位につけ、自身はその背後か ら王家を支配する―――クローディア姫殿下を人質と することで陛下に退位を迫るのがリシャールの目論見 だったが、ここでユリア中尉率いる親衛隊が謀略を察 知。姫殿下の身柄をめぐり、特務部隊と親衛隊の間で 激しい戦いが繰り広げられた。だが、数に劣る親衛隊 は敗北、クローディア姫を奪われてしまう。以後、親 衛隊はテロリストの汚名を着せられ、地下に潜伏せざ るを得ない状況に追い込まれる。もはや障害はなく、 クーデターの成功は時間の問題となった。 ◆意外な英雄の登場◆ だが、思いがけないところから光が差し込む。 とある人物たちが、特務部隊の警備をすり抜け城内 へと潜入。さらに軟禁状態にある女王陛下と面会する ことに成功したのだ。遊撃士協会の意向もあり、ここ で彼らの詳細を書くことは差し控えるが、ともかく情 報部の規制により情勢がつかめていなかった協会は、 彼らのもたらした情報によって初めて事態を把握する ことになる。そして以後、遊撃士協会が情報部に対抗 する勢力の中心となっていく。 ◆エルベ離宮、そして女王陛下の解放◆ 遊撃士協会は潜伏していた親衛隊のユリア中尉らと 合流。まずは深夜の共同作戦によってエルベ離宮を解 放し、クローディア姫殿下を始めとする人質の救出に 成功する。 そして昨日、グランセル大聖堂の正午の時鐘を合図 に、空中、地上、地下の3方から、遊撃士と親衛隊を 中心とした救出部隊が王城への突入作戦を敢行。 情報部に操られた王国軍の制圧部隊が迫る中、グラ ンセル城内とその地下にかけて特務部隊との死闘が展 開された。やがて、ついに遊撃士がアリシア女王陛下 を救出。ほぼ同時刻、間近まで迫っていた王国軍部隊 も、監禁を脱し王都に急行したモルガン将軍の説得に より前進を停止しようとしていた――リシャールと情 報部によるクーデター計画は、こうしてまさにぎりぎ りの瀬戸際で阻止されたのだ。 ◆名もなき人々の力 突入部隊の素顔◆ ここまでの記事から明らかなように、情報部の野望 を打ち砕いたのは1人の英雄の力ではない。名もなき 人々の小さな勇気の積み重ねが、最後には巨大な陰謀 を阻止するだけの力を生み出したのだ。 女王陛下を救出した突入部隊の顔ぶれも、そのこと を強く物語る。親衛隊や遊撃士に混じって、中には幾 人かの民間人の姿もあったという。実はこの最後の戦 いにおいても、解放側に集まった戦力は到底十分とは いえない状態だった。その不足を補ったのもやはりこ れら市民の勇気だった。 かくいう記者も、そうした勇気に支えられていた者 の1人だ。中でも2人の準遊撃士には特別な感謝を捧 げねばならない。彼らなしでこの事件を記事にするこ とは不可能だった。今その最後を書くにあたり、改め て感謝の念を強くしている。遊撃士協会によれば、ま もなく彼らは待望の資格を与えられる予定だという。 この先は記者個人の伝言になるが、王国を救った英雄 たちに免じ、どうかご容赦を。 おめでとう! 心から祝福する―― カレーでよかったら何杯でもおごるぜ。(N) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【社会】親衛隊の名誉回復 部隊を再編 反乱者、テロリストの汚名を着せられ、各地に潜伏 していた親衛隊の名誉が回復された。軍作戦本部は本 日中にも正式に親衛隊の再編を決定、ユリア中尉以下 全員が原隊に復帰する見通しだ。 【社会】モルガン将軍 作戦本部長に 市民の楯となるべき軍の一部部隊によるクーデター 計画――国家の存亡に関わる重大事件を未然に防げな かった王国軍は、組織の建て直しが急務だ。 王国会議はすでにモルガン将軍を中心とした再建策 を提案。王国軍もその意向に従う方針で、将軍は近く 軍作戦本部長に就任する見通しだ。またその補佐役と して、《百日戦役》で将軍の右腕となって活躍したカ シウス・ブライト元大佐の復隊も発表された。元大佐 は戦役後に除隊、その後は遊撃士協会に活躍の場を移 していた。 【社会】《四輪の塔》で異変!? 昨日午後、王国各地から「不思議な光を見た」との 報告が多数寄せられた。《四輪の塔》の頂上から光線 のようなものが発射されたという。現在は調査を待つ 状態であり、詳しいことは分かっていない。 |