データクリスタル3


『封印機構について(4/4)』

例えば《環》は《ゴスペル》を通じて
多幸感をもたらす仮想現実を市民に見せ、
時には脳内物質の制御までやってのけた。
それは強力きわまる麻薬や幻覚剤が
いつでも摂取できる事と何ら変わらない。
しかも質が悪いことに、その薬には
生理面での副作用が存在しないのだ

そのような恩恵が、人の実存に
どれほど深刻な影響を与えることか……
すでに影響は多くの市民に現れており、
残された時間は余りにも少なかった。
故に我々は、意見の対立を乗り越え、
様々な困難を覚悟した上で
『封印計画』の実行に着手したのである。