データクリスタル4


『湖岸の地下施設について(1/4)』

『封印機構』を形あるものにするには
莫大なエネルギーと
大がかりな施設の両方が不可欠であった。
我々は、エネルギーの拠り所として、
まず、《環》そのものの利用を検討した。
《環》は人の願いに反応し、
恩恵を与えてくれる――すなわち
願うことで、必要とするエネルギーを
《環》から引き出せないかと考えたのだ。

……だがそれは適わなかった。
《環》が自律を得たしばしの後、
その恩恵は人々の願いに関係なく、ただ
一方的に与えられるようになったのである。