【特集】古代竜の脅威去る ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆古代竜 リベール領空外へ◆ ボース地方に突如として現れ、各地に甚大な被害を
作戦の開始から、竜の「国外退去」が確認されるま で――王国軍最前線の動きを追った。 ◆『竜捕獲作戦』の全容◆ 竜出現の翌日、被害の拡大を防ぐべく王国軍はすぐ さま『捕獲作戦』の実施を決断する。「捕獲」と銘打 たれた背景には、聖獣とも言われる竜の命を尊ぶ女王 陛下のご意向があったと言われる。 作戦の概要は、複数の艦艇で竜をヴァレリア湖へと 追い込み、麻酔弾によって無力化するというもので、 航空戦力の中核を占める飛行艦隊の他、新型エンジン を搭載したばかりの巡洋艦《アルセイユ》までもが投 入されることとなった。本誌記者もオブザーバーの遊 撃士と共にその《アルセイユ》に乗艦、《百日戦役》 以降最大となった作戦行動に密着した。 ◆失敗に終わった最初の捕獲作戦◆ 上空待機が続いた正午過ぎ、ようやくマルガ鉱山上 空にて竜を発見との報が入る。モルガン将軍は直ちに 作戦の開始を号令。ここに竜捕獲作戦は決行された。
伝説の竜は想像を遥かに凌駕する存在であった。 沈黙していたその巨体は突如として覚醒。牽引の準 備に取り掛かっていた王国軍艦艇を置き去りに、瞬時 に雲間へと消えてしまう。《アルセイユ》を先頭に必 死に後を追った飛行艦隊だったが、竜の常識を超えた 飛行能力についていけず、とうとう霧降り峡谷上空で 目視はもとより導力反応まで失ってしまう。 王国軍の総力を結集した作戦は失敗に終わった。重 い沈黙の訪れた艦内に、新型エンジンの咆哮だけが虚 しく響いていた。 ◆果断即決の代替作戦 地上からの捜索◆ 万全と思われた作戦のまさかの失敗。しかし、王国 軍首脳は迅速に次の手を打つ。オブザーバーとして同 行していた遊撃士に、霧降り峡谷での竜の捜索を要請 したのだ。ギルド側もこれを快諾。作戦失敗からわず か数時間後、早くも代替作戦が開始されたのだった。 そしてこの果敢な決断はすぐに成果を挙げることに なる。遊撃士の行動に刺激されたのか、峡谷に潜んで いた竜が再び上空に姿を現したのだ。 ◆飛行艦隊 竜の離脱を確認◆ 飛行艦隊は竜の出現と同時にそれを補足。追跡を開 始した将兵らが目撃したのは、リベール領空外へ悠然 と飛び去る竜の姿だった。王国全土を震撼させた事件 は、こうして一応の終幕を迎えた。 ◆古代竜 再来の可能性は?◆ 果たして古代竜は本当に立ち去ったのか? 再来の 可能性について王国軍は「現時点では判断が難しい」 と態度を保留している。当分は国境空域の哨戒活動を 強化し、不測の事態に備える構えだ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【社会】被災地に義援金 匿名で1000万ミラも 被害に遭ったボース市、ラヴェンヌ村にリベール各 地から多くの義援金が集まっている。中には匿名で金 耀石の結晶(時価にして約1000万ミラ)を送って 来た人物もおり、関係者の間でも驚きの声が上がって いる。これらの義援金は国庫からの支出金と合わせ、 復興事業に当てられる見通しだ。 【社会】ボースマーケット営業再開 竜の襲撃から一週間。急ピッチで修復作業が行われ て来たボースマーケットが、本日営業を再開する。 ボース市長メイベル女史のもと、地元商人が協力し てこのスピード復旧を実現した。「《百日戦役》直後 の団結を思い出した」と同地のご老人も目を細める。 「商人の町」の魂はいまだ健在ということか。 |