『サフィー 第4巻 〜腕の傷〜』永遠に続くかと思われた2人の攻防は 誰もが予測しなかった結末を迎える。 サフィーが得意とする、切り返しの一撃を ブラッドに向けて放とうとしたときだった。 彼女の左腕に激しい痛みが走った。 ブラッドがこの隙を逃すはずはない。 彼のカトラスは、耳をつんざく金属音を発し サフィーのレイピアを弾き飛ばした。 体勢を崩したサフィーに、 ブラッドの最後の一撃が迫る。 サフィーは固くまぶたを閉じ、死の刃を待った。 しかし、ブラッドは踵を返すと、雑木林に向かって カトラスを投げつけた。 一瞬後、鈍い音を立て、クロスボウを持った男が 地面に倒れ込む。 サフィーは左腕に深々と刺さった矢を 引き抜きながら立ち上がった。 その目に、第三者を介入させたガーネットへの 怒りの色をたたえながら。 殺気立つサフィーを止めたのはブラッドだった。 闇に紛れて矢を放たさせたガーネット男爵は、 決闘の作法に反したことで爵位を剥奪される。 すでに、剣士の役目は終わったのだ。 |