『サフィー 第8巻 〜再戦の時〜』トパーズ国王の御前試合には、国中から 選りすぐりの剣士たちが集められた。 中でもブラッドとサフィーは注目の的だった。 先日の決闘を知らない者はいなかったのだ。 血と華麗な技に飢えた貴族たちの見下ろす中、 ブラッドとサフィーは、膝を屈することを知らず ついに再び剣を交えるときが来た。 この一戦の勝者には、一級剣士の称号が贈られる。 だが、サフィーには称号など何の価値もない。 ブラッドを見据えながら、彼女は呼吸を整えた。 目の前の男を倒せば、剣士としての人生は終わる。 サフィーは使い込まれたサーベルを引き抜くと ブラッドを圧倒する疾風のような攻めを見せた。 頭部への突きを2度、脇腹への払いを1度、 規則正しく寸分の狂いもなく。 当初押され気味だったブラッドは、素早いが 単調な攻めを続けるサフィーに、反撃を始める。 サフィーは隙を見ては同じ攻めを繰り返すのみ。 勝敗は決したかに思えた。 サフィーは悪あがきとも思える同じ攻めを繰り出す。 だが最後の払いで、手首を捻り頭部へと切り返した。 フェイントだと気付いていても、ブラッドの体は 執拗な攻撃で覚え込まされた反応をしてしまう。 額に突きつけられたサーベルに、 ブラッドは無言でカトラスを投げ出した。 女剣士が国内の剣士を制したのである。 |