真・英雄伝説 《疾風のラヴィン・第2巻》 カラムロ・カラムス |
《作戦変更》「(居た・・・)」 ラヴィンは 背後にいる相棒へと合図を送る。 耳を澄ますと 洞窟の奥から男達の声が聞こえてきた。 「・・・あとはこれを あの方に渡しさえすれば仕事は完了だ。」 「ああ。ちょろいもんだな。 しかし、なんだってこんな 古ぼけた本を欲しがるのかねぇ?」 「お前、知らないのか? この本はな・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・」 そこで、丁度声が小さくなった。 声の主は 相手にもったいぶっていたのだろう。 しかし、それは思いもよらぬ結果につながった。 ジャリッ・・・ 「(しまった・・・!)」 声を聞き取ろうと身を乗り出したラヴィンが 思わず足元で音を立ててしまったのだ。 「誰だッ!!」 弾けたように男達が声を張り上げる。 ばつが悪そうに首をすくめるラヴィンは マールに向かって目配せする。 「作戦変更だ。」 「もともと、作戦なんかなかったくせに。」 間をおかず、2人は呼吸を合わせて 声のしていた方向へと一斉に躍り出る。 「なんだ、こいつら!?」 飛びこんだ横穴は想像より一回り狭かった。 そこでは、5人の男達が突然の侵入者に対し それぞれの武器をかまえていた。 『盗賊です』 といわんばかりの身なりと容姿。 ラヴィンとマールは 男達が状況を判断する前に動いていた。 |