真・英雄伝説
《疾風のラヴィン・第3巻》

              カラムロ・カラムス

《迎撃》
力の限り駆けながら
ラヴィンは相棒に向かって叫んだ。

「マール、広いところで迎え撃とう!」
金の髪をなびかせ
マールは「了解!」と返す。

古文書はなんとか取り戻したものの
盗賊達の追撃にあってしまった。

5人居たうち2人は
本を奪うときに倒すことができた。

狭い洞窟の中では思うように動けず
ラヴィン達は残り3人の盗賊達から逃れ
険しい山を駆け下りていたのだ。

うっそうとした木々の合間を
身軽にすり抜けるラヴィンの脇には
しっかりと一冊の本が抱えられている。

(この本が一体、何だっていうんだ?)

追ってくる声と足音を聞きつつも
ラヴィンは手にした古文書に思いを巡らせた。

王家からの秘密めいた依頼。
盗賊の会話にあった「あの方」。

この本がどれほどのものだというのか。

2人の呼吸もあがってきた頃
丁度木々の間を抜けて空き地へ出た。
剣を振りまわすにも
ブーメランを放るにも無理がない。

あたりの地理を確認して
2人は追っ手を待つ。

「よし・・・マール、片づけちまうぞ。」

ラヴィンが言い終わるや否や
猛り狂った男達が空き地に飛びこんできた。

「観念したかッ!!」

3人の盗賊達は、鋭い剣を携え、
2人の冒険者に挑みかかる。

そこで戦いが再開された。

冷静さを保っていた2人が
熱くなった盗賊達を相手に
勝利するのは難しくなかった。

剣を鞘に収めるラヴィン。
その足元に3人の男達が転がっている。

「気付かれるとめんどうだ。
 さっさと姿をくらまそうぜ。」
髪を掻き揚げ、ラヴィンが言った。

街道までもうすぐだ。
2人は足早にその場を離れようとした。


そのとき


「・・・待ちなさい。」

凛とした声が、ふたりを引きとめた。