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『精霊神概説』
人の母とも言うべき存在
それが精霊神ドゥルガーである。

四精霊を束ね、大地を創造したこの精霊神は
誕生と慈しみの象徴に思えるが
人に生と死をもたらせる存在でもある。

冥府の番人とも呼ばれるゆえんであるが
生と死を同義に考える古代人にとっては
その存在はより偉大なものだったかもしれない。

一年の大半を雪と氷に閉ざされる
ボレアス地方北部のコルナ村には
ドゥルガーを奉った礼拝堂や神殿が残されている。

光の神バルドゥスが闇の神オクトゥムを封印した際
ドゥルガーとその眷族も眠りについたとされているが
この神殿に眠っているという言い伝えもある。

神殿内に安置されている御神体らしきものに
その手がかりを求める研究者も多いが
確証は得られないでいるのが実情だ。

魔法大学校の調査隊が長年にわたって
研究を継続しているが、やはり不明なことが
山積みの状態である。