戦記小説
《剣帝ザムザ・第11巻》

《 剣閃 》
幅広の白刃が
いくつもの光の弧を描き出す。
ザムザ得意の斬撃である。

ミリガンは大剣を右へ左へ器用に操り
ザムザの攻撃ひとつひとつを
丁寧に弾き返す。

最期の弧を受け止める瞬間
ミリガンは大剣の角度を変え
ザムザの剣を刃の上に滑らせた。

攻撃を受け流され
ザムザの上体が泳ぎかける。

その一瞬
ミリガンの大剣が咆哮を上げて
右袈裟に一閃した。

ザムザは泳いだ上体をひねり
かろうじて剛剣をかわしたが
剣尖が鎧の止めがねを弾き飛ばし
肩あてが中空を舞った。

さらにミリガンは
返す一撃でザムザの体を
斬り上げようとする。

だが、それより半瞬はやく先に
光の弧が走った。

ミリガンの巨躯がよろめく。
額に赤い一筋の流れが走った。

全くの互角である。

だが、ザムザは一騎駆けで
疲労困憊し、重傷を負っている。
何本もの矢が体に突き立ったままなのだ。
ミリガンは内心で戦慄した。

彼が無傷であったなら
一体どうなっているだろう。

ザムザの体はすでに限界に達していた。
呼吸は異常に荒く
視界が急速に狭まっていく。
腕はすでに麻痺して感覚がない。

次の一撃が最期。
そのことだけがザムザの脳裏にあった。

ミリガンもそのことを察したかのように
大剣をかまえなおす。

剣闘士と竜戦士の戦いは終局を
迎えつつあった。

ミリガンより先に
一撃を与えなければならない。
ザムザが地を蹴った。

ミリガンも大剣を両手でかまえ
ザムザを迎え撃つ。

ザムザは持てる力の全てで
刺突を繰り出した。

鮮血がほとばしった。