【第2巻 蒼騎士】
ペドロが、王都の郊外にある 人形工房で働くようになってから またたくまに3年の月日が過ぎ去りました。 人形師カプリの指導のもと からくり人形を組み立てる技術と 人形をあやつる技術を学んだペドロは 修行の成果に、1体の人形を組上げました。 それは、青光りの甲冑をまとう人形でした。 カプリの傑作人形《黒法師》が 機動性重視の格闘タイプだとすれば 青い人形はバランスのとれた剣術タイプ。 黒法師の突きや蹴りを受け流しつつ 反撃するさまは、華麗な騎士そのままでした。 『なんと名付けるつもりじゃ?』 『それが、何も考えていないんです』 結局、ふさわしい名前を考えているうちに 《蒼騎士》とだけ呼ぶようになっていました。 都を治める国王が逝去したのは ペドロが《蒼騎士》を組上げて しばらく経ってからのことでした。 国王は、長らく病床の身だったので 騒ぎも起こらず、しめやかに喪が明けました。 そして定めに従い、1人娘だったティーア姫が 女王として即位することが決まりました。 つづく |