【第10巻】
振り返ると、鎧に身を固めた兵士たちが、 ずらりと並んでいた。 悪趣味な角つきの兜は、バイロダイン国のものだ。 『ここまで案内してもらえば、もう用はない』 兵士たちは、一斉に剣を抜き払った。 吾輩は、カメリア嬢を後ろにかばった。 『ほらごらんなさい。 これが、ルサルクU世の本心です。 最初から吾輩を味方にしていればよかったんですよ』 とりあえず余裕の口上をブチかまして、 煙玉を投げる。 破裂音と共に、赤や緑や紫の煙が 我々と兵士たちの間に巻き起こった。 『目を閉じて! 少しだけ息を止めてなさい』 吾輩はカメリア嬢を抱えて、煙の中を走った。 兵士たちのわめき声が背中に届いてくる。 吾輩は、ひとまず洞窟の出口を目指した。 外の光が見えてきたとき、 艶やかなシルエットが浮かび上がった。 『フロード、貴様!』 『これはこれは、マグノリア将軍。 よいところにおいで下さった。 ちょっと手伝ってください。正義のためですぞ』 |