【第8巻】
前回のお話の最後で、吾輩が死んだと思った方も
多かったろうと思う。
しかし、手品師フロードは不死身なので、
どうかご安心いただきたい。
さて、断崖絶壁から転落したものの、
どっこい生きていた吾輩は、カメリア嬢が宝を
探すために拠点としている小屋の中に忍び込んだ。
そして、真実を知ったのだった。
発見した日記によれば、
彼女が宝を得ようとしているのは父親のためだった。
父親は、ナイトロとかいう爆薬を発明し、
バイロダイン国でクーデターを起こそうとしていた。
それをバイロダイン皇帝ルサルクU世に見つかって、
魔女の島とかいうところに監禁されたという。
皇帝は、カメリアに取引をもちかけた。
もし古地図に記された宝を持ってくることができたなら
父親を許してやろう、と。
なるほど、それでなぞ解きのために、
吾輩を利用したのだな。
納得したとき、小屋の外を人影がよぎった。
男のような長身、漆黒の髪、ブランデーチェリーの唇。
・・・麗しのマグノリア将軍ではないか!
将軍は、幽霊のように漂いながら、
悲壮な声でわめき散らしている。
『・・・ドジめ、フロード、なぜ死んだ?
私が捕まえるはずだったのに。
ああ、せめて、骨なりと拾ってやりたい・・・』
ありがたいお言葉である。
飛び出していってキスしてあげたいところだが、
鉄拳パンチが怖いのでやめておくことにした。
吾輩はそっと小屋を離れた。
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