詐欺師フロードの華麗なる冒険
【第9巻】
カメリアは、洞窟の奥にある竪琴の印を
指でなぞった。
やっと、宝の在り処へとたどり着いたのだ。

彼女自身、その宝がなんなのかは知らない。

ただ、ルサルクU世に命ぜられるまま、
取りに来たのだ。
父親を助けるためには、それが必要だ。

カメリアは竪琴の印が示す扉に手をかけた。
『お手伝いしましょうか?』
吾輩は彼女の背中に声をかけた。

『フ、フロード・・・生きていたの!?』
『この扉にはトラップが仕掛けられています。
吾輩にお任せいただいた方がよいと思いますがね』

カメリアは腰につけたナイフを閃かせた。
吾輩は刃先を素手でつかんでハトに変えた。

『あなたの味方がしたいんです。
ルサルクU世が、約束を守るとは限らないのですよ』

『どうして、それを・・・』
『手品師フロードにわからないことはないのです』

吾輩は扉の前にかがみ込んだ。

そのとき。
『そこまでだ、ご苦労だったな!』