プロローグ


大地にガガーブが刻まれる以前

三つの世界が未だひとつであった時代の記憶は、
既に人々にはない。


大地に残ったのは罪の傷痕


人はいつから罪を背負ったのだろう?



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何百年もの昔……
海辺に住み、何処へと消えた“水底の民”

彼らは“メロディー”を自在に操り、音をあらゆる力に換え、
想像を越えた繁栄を築いたという。

完璧で、純粋で、力ある“メロディー”

だが、伝承は多くを語ることなく
遠い過去の夢物語のひとつとして伝わるに過ぎなかった。

その後、ある偉大な音楽家の手により、
“メロディー”が再現されたという噂が
音楽を生業とする者たちの間に広まった。

音楽家の名はレオーネ・フレデリック・リヒター。
演奏家としても知られ、若き天才として名を馳せていた。

だが、それから五十年経った今でも
その真相は確かめられることなく……



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この時代、旅回りの演奏家が多く存在していた。


多くの場合、彼らは皆明るくまた博識であり、単に
音楽によって人々を慰める以上の役割を担っていたという。
時によって、彼らの巡業は世界を巡るに及んだ。


この物語も、そんな音楽家の冒険譚のひとつである。







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