1、はじめに ブラックジャックは世界のほとんどのカジノで最もテーブル数が多くポピュラーなゲームである。 ブラックジャックの起源については定説が無い。イギリスの家庭内ゲーム「ポントゥーン」(日本ではドボン)から派生したとも言われるが、ヨーロッパのどこかの国のゲームからできたものであろう。 ブラックジャックと呼ばれるようになったのは最初に配られた二枚のカードが「スペードのAとJ」だったときに高い配当を付けるようにしたことによる。これが「すべてのAと絵札または10の組み合わせ」に拡大されて現代に至っている。 当初あまり人気の高いゲームではなかったブラックジャックが注目を集めるようになったのは1960年代になって必勝法が見いだされたことによる。この必勝法を具体的に解説したのが1962年にEdward Thorp氏が著した"Beat the Dealer"という著書である。この本はコンピューターを駆使して、正しいプレイを分析し、それに加えて「カウンティング」と呼ばれる方法をシステムとして確立したことで有名である。これ以後、ブラックジャックはやり方によってはプレイヤーが勝てるゲームとなった。 もともとブラックジャックは時間経過と共に勝利条件が変化するゲームである。つまり使用されたカードにより残りカード(これから出てくるカード)が限定されるから、使用されたカードを正確に「カウンティング」すればプレイヤーに有利な最適戦略がたてられることになる。出た目が次に影響を及ぼさないルーレットやクラップスなどと、ここが大きく異なる点である。 当初カードカウンター(カウンティングの情報をもとに最適戦略でプレイできる人々)により大きな損害をこうむったカジノ側も当然自衛策をとり、デッキ数を増やしてカウンティングを困難にするなどした。しかし、ルール改定による自衛策も完全ではなく、現在ではカードをカウンティングしているとみなされた場合は、そのカジノへの出入り禁止の措置を受けても文句が言えないことになっている。 2、ルール 図は一般的なブラックジャックテーブルである。手前にある6または7つのシンボルマークは、各プレイヤーが賭け金を出す場所である。ディラーはプレイヤー全員が賭け金を出すと、カードシューからカードを取り出し、自分を含めた各自に1枚ずつ2回、カードを配る。ディーラーの2枚のカードのうち1枚は伏せられている。 このゲームはディーラーに対するプレイヤー各自の勝負である。それぞれのカードの合計数が21に近い方が勝つ。絵札はすべて10として数える。Aは1または11と数える。したがってAと10の組み合わせなら2枚で21となり、これがブラックジャックと呼ばれる。 さて、プレイヤーは配られた自分の2枚のカードの合計数が少なければさらにカードを引ける、カードは何枚でも引けるが合計数が21を超えればバーストと言って失格となり賭け金は取られてしまう。合計数が多くてディーラーに勝てると判断すればカードを引かなくても良い。こうしてプレイヤーが全員カードを引くか引かないかしたら、ディーラーは伏せたカードを見せて、合計数が16以下なら16を超えるまでカードを引く。ここでディーラーがバーストすれば残っているプレイヤー全員に配当される。ディーラーのカード合計が17以上なら、残っているプレイヤー一人一人との勝負で、勝ったプレイヤーには1対1の配当がある。なお、ブラックジャックの配当は1対1.5である。 以上は一般的なルールであるが多くのバリエーションが存在する。 ここでブラックジャックの用語を解説しておく。 アップカード ディーラーの2枚のカードのうち表向きになっているカード。伏せているカードはホールカードという。 インシュランス アップカードがAの場合、10になるカードは多いのでディーラーがブラックジャックになりやすい。そのため、賭け金の半額を出してディーラーがブラックジャックであるかどうかに賭ける。当たった(ブラックジッャクであった)場合、2倍の配当がある。つまりこの場合、取られる最初の賭け金が戻ってくることになる。しかし当たらなければインシュランスに賭けたチップは取られてしまい、本来のプレイが始まる。(インシュランスは一見保険として有効のように見えるが、全然別のゲームをするのと同じで、インシュランスをやらないほうが有利である。) ヒット もう1枚カードを引くという意志表示。 ステイ カードを引かず、そこまでのカードで勝負するという意志表示。 スプリット 配られた2枚のハンド(手)が同じ数字のカードの場合、それを2つに分けて別々のハンドとしてプレイすること。 ダブルダウン 賭け金を2倍にするかわりにカードを1枚しかヒットしないという選択。ハンドの合計数が11でアップカードが5や6などの場合に有効。 サレンダー ハンドの合計数が15や16のように悪く、しかもアップカードが10のような場合、勝ち目がないと判断して賭け金の半額を放棄してその回のプレイを降りること。 ソフトハンド Aを11として数えるハンド。Aを1として数える場合はハードハンドという 3、控除率 ブラックジャックはカードが使用されるごとに残りカードが変化するのでカジノ側の控除率もゲームごとに変動する。よって正確な控除率を計算できないが、プレイヤーが何も考えずにプレイすれば数%程度と言われる。これが、以下に述べるベーシックストラテジーをマスターすればカジノの控除率は0.3%程度になる。さらにカードカウンティングをすれば控除率はマイナス、言い換えればプレイヤーが勝てるゲームとなるが、現在カジノでカウンティングは禁止されているので、ここでは詳しく解説しない。簡単に言えば、残りカードに絵札など大きい数字のカードが多ければ賭け金を増やし、少なければ賭け金を減らすというのがカウンティングの基本である。 4、基本戦略(ベーシックストラテジー) さて、ブラックジャックにおいてプレイヤーが判断する材料となるのはディーラーのアップカードと自分の2枚のカードである。この状態でさらにカードを引くかどうかの判断を最適化したのがベーシックストラテジーである。 以下はベーシックストラテジーをまとめた表である。縦がプレーヤーの手札、横がディーラーのアップカードである。縦と横の交点の指示が、それぞれの場合の確率的に最も有利な選択である。 なお、この表はラスベガスのストリップ地区では標準である6デッキ(6組のカードを使う)でディーラーがソフト17をスタンドしなければならないルールのものである。よってこれをマスターすればラスベガスでは最も汎用性があるストラテジーを覚えたということになる。
この表の表示方法と解説は主としてZACKYさんの「ブラックジャックをやろう!」からお借りした。 |