1、はじめに パイガオポーカーの起源は牌九という中国ドミノである。牌九は天九牌という名のプレートを使った中国のギャンブルゲームで、パイガオはその広東発音である。牌九は32枚の天九牌を各プレイヤーに4枚ずつ配り、それを2枚ずつに分けて、同じように分けた親と手役の強さを競うものである。 この牌九が、鉄道建設に従事する中国人労働者によって19世紀のアメリカにもたらされ、ポーカーと融合してパイガオポーカーが成立したとされている。似たようなゲームにフィリピンでロシアンポーカーまたは13ポーカーというもの(これは最近チャイニーズポーカーと呼ばれアメリカのポーカークラブでも流行の兆しが見える)があったが、起源は別物であろう。 パイガオポーカーを最初に導入したのは1986年にカリフォルニア州ベルカーデンにあるバイシクルクラブというカードルームであると言われているが、その年の後半にはネバダ州でも導入され、スターダストホテルのポーカールームで遊ばれている。 カリフォルニアのルールではプレイヤーの1人が親(胴元、バンクという)になるものであるが、1987年にデザートインホテルでカジノがバンクを引き受けるネバダスタイルが確立された。このページではカジノで遊ばれているネバダスタイルについて解説する。 2、基本ルール 使用するのはジョーカー1枚を加えた53枚のカードである。各プレイヤーとディーラーは配られた7枚のカードを2枚と5枚に分け、それぞれの強弱について勝負する。その強弱はポーカーの手役の強さによる(ジョーカーはフラッシュまたはストレートではワイルドカードとして使われるがそれ以外はAとみなされる。したがってAの5カードはあり得る)。2枚と5枚の組では2枚のほう(セカンドハンドという)より5枚のほう(ハイハンドという)が強くなければいけない。例として以下のカードの場合の分け方を示す。 これはあまり良いカードではないが、ジョーカーをAとみなして以下のように分ける。
ハイハンド、セカンドハンドともノーペアであるがセカンドハンドのほうが弱くなければいけないのでこのような分け方になる。ハイハンドは5枚なのでポーカーのすべての役ができるが、セカンドハンドは2枚しか無いからAペアが最高の役であり、2・3が最低となる。 このように分けた2組についてバンクと勝負する。2組とも勝っていれば勝負は勝ちで賭け金と同じ額がもらえる(カジノではコミッションとして賭け金の5%が差し引かれる)。2組とも負けていれば負けで賭け金は没収、1勝1敗なら引き分けである。なお手役がバンクと全く同じ場合(コピーハンドという)はバンクの勝ちである。コピーハンドは2枚のセカンドハンドではよく出現する。 パイガオポーカーのテーブルは、ディーラーが一人、プレイヤーが6人まで座れる。座った場所によって位置関係が決まっていて、右図のようになっている。 数字はダイスの目によりカードを配り始める順番。 3、カジノでのプレイ 最近はパイガオポーカー専用のシャッフルマシーンを使うものが多くなってきているので、これを使うテーブルについて説明する。
4、戦略 パイガオポーカーの目的は、5枚と2枚に分けたハイハンドとセカンドハンドともにバンクのそれに勝つことである。すなわち、ハイハンドにストレートフラッシュなどの良い手ができたとしても、セカンドハンド2枚が低い数字のノーペアならば引き分けにしかならない。一方、いわゆるパイガオ(ノーペアの手)でも、セカンドハンドがKQなどであったなら1勝1敗の引き分けになる可能性が高いのである。 つまり、2枚をどのように分けるかが重要なゲームということになる。 配られた7枚の内容による分け方についての基本戦略を以下に示す。
以上は簡単な戦略の覚え方であるが、分けるのに迷った場合は、ディーラーにハウスウェイを訊ねるか、キープマネーを信条にして守備的にプレイする。(勝てたのにというショックより、負けなかったのにというショックのほうが大きいからである) 5、バンクプレイ パイガオポーカーは客が胴元(バンク)を引き受けることのできるゲームである。すべてのカジノゲームに言えることであるが胴元の優位性はあきらかであるから、このゲームで勝とうとするならバンクプレイをすべきである。しかし、バンクプレイをする場合はディーラーだけでなく他のプレイヤーとも戦うことになるので、高額な賭をしているプレイヤーが同席している場合は注意が必要である。 少なくとも他のプレイヤーがいないときにディーラーと一対一で戦う場合にはバンクプレイを選択しなければ損をすることになる。 バンクをする場合の利点を以下に述べる。
バンクをする場合の注意としては他のプレイヤーが全員カードを分けて場に置くまで自分のカードを見ないことである。バンクは他のプレイヤーとも敵対関係にあるので自分の手を人に見せてはならない。 6、その他 パイガオポーカーには以上述べた基本的なゲーム以外にカリビアンポーカーなどで行われているサイドベット方式のジャックポット付きのものがある。ジャックポットパイガオポーカー、フォーチュンパイガオポーカーなど呼ばれているものがそれで、配られた7枚に特定の役以上があれば配当を受けられる。 このジャックポット付きパイガオポーカーは役が来ないときは一方的に賭金が減っていくので、波のない安定したゲームをめざすには向かないゲームである。 |
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執筆に当たり、GENさんの「パイガオポーカーのすすめ」から文章の一部をお借りした。お礼申し上げます。 |