2001年度遊戯史学会例会

6月30日の遊戯史学会の例会に参加して大阪に行った。
基調講演は高橋浩徳氏による「投扇興の由来と現状」である。
投扇興とは写真のように扇を的に当て、落ちた姿によって得点を競うお座敷ゲームである。詳しくは高橋氏の運営するサイト(ボードウォーク・コミュニティ)をご覧ください。

投扇興 投扇興

投扇興はその雅やかな姿から平安貴族の遊びなどの誤解があるが、高橋氏によると江戸中期、安永の頃(1770年代)に町人の間で流行したのが最初らしい。安永二年(1773)に「投扇例」という書があり、著者(投扇散人其扇)がそれまでにもあった投壺(とうこ)を真似て創作したとあるが、これは怪しいとのこと。なお、投壺は壺に向かって矢を投げ入れる遊びである。
その後に投扇興が流行したのが文政五年(1822)頃で、武功年表によれば、辻々に投扇興の店があって賭をなしたため禁止されたとある。
その後何度も流行り廃りはあったようだが、明治になって廃れ、近年浅草その他で復活し、保存会などの活動が全国各地でなされている。
なお、投扇興にはさまざまな役と点数があり、「百人一首の形式」と「源氏物語の形式」、「その他の形式」の三派に現在別れている。
<以上、高橋氏の講演より抜粋>


会場に梅林勲氏による世界の将棋のコレクションが展示されたので、写真を紹介する。
見学していて横を向いたら将棋の田中寅彦九段が居たのには驚いた。いつの間にか帰っていたのでほとんどの人は気がつかなかったに違いない。もっとも、有名人ということなら、この遊戯史学会は錚々たる人々が集まっているので驚くことではないのだが。(笑)

 

 

展示されたのは、タイ(マックルック)、ミャンマー(シットウィン)、カンボジア(シャッロン)、ラオス(マックフク)、マレーシアとインドネシア(チャトル)、モンゴル(シャタル、ヒアーシャタル)、インド(シャトランジ、シャタランジャ)、スリランカ(チャトランジ)、中国(シャンチー、七国象棋、北宋象棋、川中島将棋)、琉球(チュンジー)、ベトナム(カートン)、韓国・北朝鮮(チャンギ)、日本(将棋)、中近東(シャトランジ)、アフリカ(シャトランジ、セヌテレジ)である。この他にチェスおよびチェスのバリエーションも多数出展されていた。
それにしてもよくこれだけ集めたと感心した。

<左上の投扇興以外の写真は浅見了氏提供>


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