1、アトサキの歴史
アトサキ(バッタまきとも呼ばれる。むしろこのほうが正式名称らしい)は花札賭博の一種であるから歴史は古くない。江戸時代後期以降であろう。西のホンビキ、東のアトサキと言われるほど、関東の賭場ではもっとも一般的な博打である。
2、道具
花札の12種の絵柄には以下のとおりそれぞれ月数が当てはめられている。
松 1月 | 梅 2月 | 桜 3月 | 藤 4月 |
菖蒲 5月 | 牡丹 6月 | 萩 7月 | 薄 8月 |
菊 9月 | 紅葉10月 | 柳11月 | 桐12月 |
3、基本のルール
賭場では白い布をかぶせた盆ゴザを用意し、中央に中盆(札の配り手、賭場の親を兼ねる場合もある)が座る。札は中盆の前に3枚ずつ並べられるが、中盆の直前の位置をサキ、サキより遠い中盆の前方の位置をアトと称する。
中盆は花札を切って(シャッフルして)上から3枚を裏向けに重ねたまま自分の前(サキ)に置く、次に山札の上から3枚を取って重ねたままアトに置く。それからサキに置いた3枚を裏向けのまま1枚ずつ横に並べる。次は同様にアトの3枚を並べる。こうしてから賭けが始まる。「さあ、アトサキどっちもどっちも」と中盆が声をかけ、張り子はアトが勝つかサキが勝つかを推理して賭け金を置く。賭け金がアトサキ一致しない場合は親が足りない方に賭けるが、できるだけ一致するように張り子にし向けるのが合力や中盆の腕である。
アトサキへの賭けが終了したら中盆はサキの3枚、アトの3枚の順で札を開き、この3枚の数字の合計数で勝負が決する。合計が10を越えれば10を差し引いた残りの数が勝負の数となる。もし合計が10や20なら0(ブタと言う)である。このへんはカジノゲームのバカラと同じである。なお、勝者への配当は勝ち金の9割が相場である。残りの1割は賭場へのテラ銭となる。
この場合 サキが 5+8+10=23 → 3 アトが 1+9+4=14 → 4 なのでアトの勝ち |