ディーラー教室

日本でも各地のポーカー同好会や月例会が開催されるようになり、ディーラーの需要が増えてきました。
しかし、一種のボランティアとして、見よう見まねでディーラーをやっている人が多いようです。私も本格的にディーラーの修行をしたわけではありませんが、本場のディーラーを観察し、疑問があれば彼らに聞いたりして、自分なりに納得したことを皆さんにお伝えしたいと思います。
もちろん、ディーラーにもいろいろ流儀があり、細かいことは食い違う部分もあります。ここに書いたことで、間違いや補足することなどありましたら掲示板で教えてください。
2004.7.29 改訂  江場/heba

ディーラーといってもポーカー、特にテキサスホールデム(Texas Hold'em)のディーラーについて書きます。
分からない用語がある場合は JPPAのポーカー用語集をご覧ください。そこにも書いてなければご自分で検索してください。(笑)


  1. ディーラーの心構え
    ディーラーは孤独な役回りです。正確さと公平さを要求され、うまくいって当たり前です。本場で金がかかっている場なら「ディーラーチェンジ」と声高に言われ、ミスが多ければ職を失います。
    日本の場合、遊びの場ではありますが、やはり皆が真剣に戦っているところでディーラーのミスは困ります。ディーラーをしようという人は、まずそのゲームのルールを把握すること。少々時間がかかっても正確に対応することが大事です。もっとも、毎回何分も時間をかけて待たせ、テーブルのリズムを壊すようなことはいただけませんが。(^^;)
    ディーラーはテーブルを支配する立場です。自信を持ってトラブルがあったときも毅然とした態度が大切です。プレイヤーがポット(Pot)や他人のチップ、自分のカード以外のカードに触ることは厳禁なので、特に注意します。

    もう一つ重要なことは、不正を疑わせるような動作はしないということです。これについては次項以下をご覧ください。

  2. カード
    ジョーカーを除いたトランプカード(Playing Card)52枚をデッキ(Deck)、2組のデッキをセット(Set)と称します。通常1ディーラー1セットを使用します。
    新しいデッキを使用する前には、52枚のカードが揃っていることを確認してからシャッフルします。(その確認行為を衆目の中で行う)
    また、プレイ中でも随時、デッキが揃っていることを確認することを習慣づけたいものです。これはプレイ中のショウダウン(Showdown)の直前、必要なカードを配り終えた時点で残り枚数を数えるのが、最も短時間でできるし、プレイヤーを待たせません。残り枚数はホールデムの場合、[44−参加人数×2]です。つまりテーブルに10人参加の場合、ボード(Board)に5枚+バーンカード(Burn Card)3枚と手札20枚を配っているので残りは24枚となります。7カードスタッドになると途中で降りた人数によって変化するので、もう少し複雑になります。
    ※枚数を確認するというのは当然ながら、カードを隠されたり、テーブルから落ちたりして不完全なデッキでプレイすることを防ぐため。

  3. シャッフル
    ディーラーをするためには、まずリッフルシャッフル(riffle shuffle)ができなければいけません。デッキを自分の前に横に置き、両手で押さえて片手で半分に分ける。次にカードの端を合わせてパラパラとめくり合わせる。言葉で書くと分かりにくいですが、詳しいことは以下を参照してください。
    The Riffle Shuffle Card Trick
    上のページにはリッフルシャッフルとミックス(Box)とカットのビデオ映像が収録してありますから参考にしてください。
    ※リッフルシャッフルをするとき、カードを2つに分けたらすぐにシャッフルし、カードを持ち直してはいけません。また必要以上に力を入れないことです。
    ※デッキを半分ずつにした左右のカードの端を合わせるとき、カードの角(かど)を合わせてシャッフルするのはやりやすいですが、カードを見られる可能性があるので、左右のカードの両端をきちんと合わせてシャッフルするのが理想です。(上記のシャッフル映像参照。ただし本場カジノのディーラーでもきちんとそうやってる人ばかりではないですが(笑))

    なお、元ディーラーのジャンが来日したとき、ディーラー教室を開いてくれました。その時の映像(41M)もご覧ください。

    シャッフルは以下の手順で行います。
    1. まず2回リッフルシャッフルする。
    2. 次に1回ミックスする。
      ※ミックスとはデッキの上から数枚ずつを下に入れ替えていくことで、デッキの上下にあったリッフルシャッフルでもあまり入れ替わらなかったカードを入れ替える行為です。
      具体的にはデッキを片方の手の指で上から挟み持ち、もう一方の手でデッキの上から数枚をカードの長辺に沿ってすべらせて下に置く行為を繰り返します。(上記ビデオ映像参照)
    3. 次にまた1回リッフルシャッフルしてデッキを四角く整えます。
    4. 一度手をデッキから離し、アンティ(Ante)のある場合は、ここでアンティを集めます。(チップを揃える必要はありません。時間の無駄。)
    5. 最後にデッキをカット(Cut)する。
      ※カットはデッキを正面に横向きに置き、その向こうにカットカードを平行に置きます。デッキのおよそ半分を取り、向こう側に置いたカットカードに乗せ、手前の下半分をその上に重ねる。これは必ず片手で行う。(両手で行うと上下に入れ替えているのか明確でないため。)

    この手順が簡単な操作でカードが一番混ざりやすいとされています。この中で重要なのがミックスで、常に同じ深さでミックスしないことが大事です。
    また、カードを覗き見られるようなことが無いように、リッフルシャッフルではカードをできるだけ反らせないこと。ミックスやカットでは不必要にテーブルから持ち上げないことです。
    時々両隣の人にもカードが見えるほどに反らせてパラパラとリッフルシャッフルをしている人がいますが、これは不正を疑われる行為なので気をつけましょう。もっとも慣れないうちはカードを反らせないとうまく混ざらないことも確かですけれど。

    なお、完全なリッフルシャッフル(out-shuffle)を8回繰り返すとデッキは元の並び順に戻るというのは、知る人ぞ知ることです。(笑)

  4. デッキの持ち方
    シャッフルし終わったデッキは利き腕の反対の手で持ちます。手のひらの上にデッキを縦に乗せ、指で押さえます。親指はデッキの側面に、中指、薬指、小指は反対側の側面に、人差し指は向こう側の側面を押さえます。
    デッキを持った手は水平に保持し、肘を身体に軽く密着させておきます。そしてどんなときにもデッキが横になったりしないようにします。
    チップが多くて片手では集めきれないときにデッキを持った手で補助する場合はありますが、常に水平を保つように心掛けます。水平でないと、カードを見られる恐れがあるからで、チップやマック(Muck)されたカードが遠い場合はプレイヤーに協力してもらいます。
    手に持ったデッキはショウダウン(Showdown)まで(または勝負がつくまで)手から離してはいけません。

  5. ディール(Deal カードを配る)
    ホールデムの場合、ボタン(Button)が決まったらブラインドベット(Blind Bet)を確認し、スモールブラインド(Small Blind)から全員にカードを配ります。
    利き腕の親指と人差し指でカードを1枚デッキから取り(デッキを持った手の人差し指の方向へすべらせる)、対象者の前に配るのですが、このときカードがひっくり返ったりしないように注意します。基本は(右利きの場合)カードの右上部分を親指と人差し指で持ち、カード側面に中指を当て、中指で押し出すようにはじきます。(手首を使って配るのは疲れやすいので注意。)
    格好良く配ろうとしたりするとカードが浮き上がって下から見えたりしますから、カードを相手の前に置くというくらいにしたほうがいいです。すべらせるようにするとうまくいくでしょう。
    全員に配り終わったらベッティングラウンド開始です。

  6. ベッティングラウンド(Betting Round)
    [プレフロップ(pre-Flop)]
    ビッグブラインド(Big Blind)の左隣の人(under the gun)からアクション(Action)するわけですが、最初のアクションプレイヤーがすぐにアクションしない場合は声をかけます。名前を言ってもいいし、「あなたから」と促してもいいでしょう。
    時には難しい場面で長考する人も出てきます。ライブなら少々の時間は問題ないですが、トーナメントでは一人の人が多くの時間を使うと全体の時間進行で不公平が出てきます。あまり考えるようなら時間を区切って注意を与えます。
    参加者がしぼられチップが各自の前に出されます。お釣りの必要な高額チップが出されても参加者が確定するまでそのままにしておきます。(このときプレイヤー同士でチップを両替することがありますが、場に出されたチップに他のプレイヤーが触れないようにすることが原則です)
    参加者が決まったらそのゲームに何人参加しているかを宣言し、チップを回収し(中央に集め)ますが、お釣りの必要な人にはお釣りを渡します。このときまずお釣りを渡しその人のチップを回収します。これをお釣りの必要な人ごとにそれぞれ行います。まとめてお釣りを複数人に渡してからチップを回収しようとするのは間違いの元です。
    また、必要があればチップ量は[参加人数×ベット額+降りたブラインド+アンティ(ある場合)]であることを頭の隅に入れておきましょう。

    [フロップ(Flop)]
    フロップを開けるには次のようにします。
    まず、片手に保持したカードの一番上のカードをバーンカード(Burn Card)として1枚とり、回収したチップの下に伏せたまま差し込みます。ディスカード(discard 降りた人達のカード)とは別にします。
    ※一番上のカードをバーン(Burn)するのはカードに爪でキズなどの印を付けられたりして目印になっていても、その下のカードは分からないからです。日本の遊びの場では考えなくてもいいことでしょうが、故意ではなくても使っているうちにカードに自然に印が付くようになりますから、ある程度使い込んだカードは廃棄しましょう。
    それから片手に保持したカードの上から1枚取って伏せたまま下に置き、次にまた1枚取って下に置いたカードに重ねます。同様にまた1枚を下の2枚に重ねます。続いてこの3枚を起こして一気に3枚を並べて見せます。開いた3枚は適当な間隔を空けて並べておきます。部分的に重なっていてはいけません。
    ※アミューズメントなどでは気を持たせるためにわざとゆっくりカードを起こすことがありますが、フロップ3枚を時間差をつけて見せた場合、またテーブルの一方に座っているプレイヤーから見え始める、などの行為は、プレイヤーの反応に違いが出るのでお勧めできません。
    ※片手に保持したカードを手の上でずらして3枚数えてから開くようなことはいけません。数え間違いでもしたら取り返しがつきませんし、不正を疑われる元になります。

    [ターン(Turn)、リバー(River)]
    バーンカードを捨ててからカードを1枚開きます。このときも一気に開くことを心掛けてください。
    ※緊迫した場面では場を盛り上げようと、わざとゆっくり開きたくなりますが、それは総合的には良いことではありません。また、オールイン(All-In)したプレイヤーに最後のカードをしぼらせることもゲーム会では見られることですが、本来は許されないことです。
    ターン、リバーのカードはフロップのカードの右横に順に並べます。フロップと2段になってはいけません。
    ターンからベットする額がフロップの倍になることに注意してください。

  7. チップの扱い
    チップはゲーム参加者が決まるごとに回収します。賭けた人の前に置きっぱなしにしてはいけません。ゲームの参加者が決まったら回収することを習慣づけるようにしましょう。(もっとも参加者が2〜3人と少なく、誰がどのチップか明確に分かるような場合は例外的にカードを開いてから回収するほうが時間が少なくすみます)

  8. 勝者が決まったとき
    ショウダウン(Showdown)の場合、手持ちカードを最初に開けるのは最後にベットした人です(つまりコールされた人)。その人から後はカードを見せるのは任意です。順番なのになかなかカードを見せない人がいれば、開けるかマック(Muck カードを投げる)するかをうながします。
    勝者が決まったとき、ショウダウンまでいっていれば勝った役を宣言し、それを明確にするために、役を構成するカードをボード(Board 場に開いたカード5枚)の中から少しずらして(押し出して)見せます。異議がなければ敗者の手持ちカードを伏せて回収します。
    それからポット(Pot 中央に集められたチップの山)を勝者の前に押しやります。このときボードが邪魔になる場合はボードをチップの通り道からずらします。そしてボタンを次の人の前に移動します。
    ※チップを押しやってボタンを移動する一連の動作を習慣づけるとボタンがどこだったのかというトラブル防止になります。
    もし、勝負が引き分けだった場合はポットを引き分けた人数分に分けます。使っているチップの最低単位にまで分けても端数の出る場合は、ポジション(Position)の一番不利な人(最もearly positionの人)に端数を渡します。

    勝者の手持ちカードとボードを合わせてカード全部を裏向け、必要があれば「焼きそばシャッフル」(裏向けたカード全体をテーブル上で混ぜ合わせるシャッフル Scramble)をしてから起こして整えます。このときカードの面を自分に向けずプレイヤーの方に向けて整えます。不正を疑われないためです。この間にブラインドベットとアンティ(ある場合)を要求します。(一定の時間が経過しトーナメントのレベルが上がっている場合は、その旨プレイヤーに宣言します。)
    その後、前述のシャッフルに入ります。

  9. オールイン(All-In)の扱い
    チップが足りずオールインする人があると、次の人のアクションが複雑になります。詳しくは JPPAのトーナメントの基本ルールをお読みください。
    チップはメインポット(Main pot)とサイドポット(Side pot)に分けます。オールインする人が複数あるとサイドポットも複数になって計算が少々面倒です。慣れない場合は、各自のチップは回収せずそのままにして、勝負がついてから計算するほうがラクではあります。
    しかし、基本的にはサイドポットを分けます。メインポットは[参加人数×オールイン額+降りたブラインド+アンティ(ある場合)]で、サイドポットはその残りです。
    ※オールイン額とそれより多いベット&コール額の差額、のオールインプレイヤー以外のアクティブプレイヤー(Active Player)の人数分、がサイドポットなので、実務的にはサイドポットを作って残りをメインポットとするのが分かりやすい。例えばブラインド200-400で2人コールして、オールインが275、ビッグブラインドがチェックすれば、(400-275)×3=375がサイドポットになります。これをポットから分けて別にします。

    メインポットは中央に、サイドポットは反対側に集めておきます。ショウダウンして、まずサイドポットの勝者を決め、ポットを勝者に渡します。次にメインポットの勝者を決めます。

  10. 各種トラブル
    よくあるトラブルはミスディールとストリングベット(String Bet)です。詳しくは トーナメントの基本ルールを参照ください。
    アクション動作と発声が同時の場合、発声優先です。発声したかどうかはディーラーに聞こえたかどうかです。
    動作でアクションするのは時にはトラブルの元になります。例えばチップを持ったままチェック(Check)のつもりでテーブルを叩いた場合、チップがテーブルに触れていればベット(Bet)とみなされます。
    またよくあることですが、レイズ(Raise)のつもりで高額チップ1枚を出しても無言であればコール(Call)とみなされます。ベットやレイズをする意志があれば発声したほうがトラブルが少なくなります。
    ただし、発声も紛らわしい場合があります。例えば、前のプレイヤーが動作でチェックしたとき「チェック?」と確認するつもりで発声した場合、同様に「コール?」など、質問しているのかどうか分かりにくいことがあります。

以上、ディーラーの基本的な考え方となすべきことを書きました。今後書き加えること訂正すべき事があれば随時改定していきます。
ここに書いたことを全部守ろうとするのは難しいかも知れませんが、自己流で慣れてしまう前に少しずつでも参考にしていただき、正しくディーラーをできる人が増えることを期待します。

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