バカラ Bacarrat

1、はじめに

 バカラはカジノでもっとも高額の賭け金が動くギャンブルゲームである。2枚または3枚のカードの合計が9であれば最高という点では日本のオイチョカブに似ている。ただし、このゲームの起源は中世期のイタリアである。バカラとはもともとイタリア語でゼロを意味する。オイチョカブで言うならブタである。最高の9を意味するカブが日本ではゲームの名前になったのに対し、イタリアではゼロを意味するバカラがゲームの名前になったのは面白い。
 このゲームが15世紀にはフランスに広がり遊ばれるようになったが、ヨーロッパのカジノで大流行して現在のルールが完成したのは19世紀半ばのことである。バカラはそれ以後、ヨーロッパのカジノではルーレットと並んで中心的なゲームとなった。それに対してバカラのアメリカでの歴史は比較的新しく、20世紀も半ばを過ぎてからである。
 バカラは特にハイローラー(大金を賭ける人たち)に人気があり、カジノでは一般フロアとは区別した特別区画でプレイされることが多い。ミニマム(最低賭け金額)も高く、係員が何人も居て格式張った雰囲気があるため敬遠されがちであるが、ルールはいたって簡単で間違える余地はなく、カジノ側の控除率も低いため、客にとっては他のゲームに比べて勝ちやすいゲームである。

2、基本ルール

 バカラはバンカーサイド、プレイヤーサイドに配られたカード(の合計数下一桁)が9に近いほうが勝ち、客はどちらが勝つかに賭ける。最初それぞれの側に2枚ずつ配られたカードによって次の行動が制限される。この制限のルールがバカラの種類によって微妙に違う。以下の表はアメリカンタイプ(大バカラ、ミニバカラ)のルールをまとめたものである。

プレイヤー側のルール
2枚のカードの合計点 3枚目を引くかどうかのルール
9、8 ナチュラル(バンカーも2枚で勝負)
7、6 スタンド(その数で勝負)
5~0 3枚目を引かねばならない
ヨーロッパタイプ(Chemin De Fer)では5のとき3枚目を引くかどうかのオプション(選択)がある。

バンカー側のルール
2枚のカードの合計点 3枚目を引く場合 2枚で勝負する場合
9、8 なし ナチュラル(プレイヤーも2枚で勝負)
7 なし スタンド
6 プレイヤーの3枚目が、6、7 プレイヤーの3枚目が、0、1、2、3、4、5、8、9
5 プレイヤーの3枚目が、4、5、6、7 プレイヤーの3枚目が、0、1、2、3、8、9
4 プレイヤーの3枚目が、2、3、4、5、6、7 プレイヤーの3枚目が、0、1、8、9
3 プレイヤーの3枚目が、0、1、2、3、4、5、6、7、9 プレイヤーの3枚目が、8
0、1、2 すべて引く なし
ヨーロッパタイプ(Chemin De Fer)では5、3に3枚目を引くかどうかのオプション(選択)がある。

大バカラのテーブルレイアウト

ミニバカラのテーブルレイアウト


3、バカラの種類

 バカラは長い歴史を反映して何種類かのやり方があるが、違いのすべてはバンカーの役を誰がやるかと、3枚目のカードの引き方をどうするかというものだけである。以下に主な3つのバカラを紹介する。

(1)バンク・ア・トゥーバ -Banque a Tout Va- (ヨーロッパタイプ)
 ダブルテーブルのバカラと呼ばれる。バンカーサイドはカジノまたはテーブルを借り受けたシンジケート(胴元引受人)によって永続的に占められ、一般客はプレイヤーサイドにしか賭けることができない。中央に座ったバンカーはカードを右手プレイヤーサイドに1枚、左手プレイヤーサイドに1枚、バンカーサイドに1枚配り、これを繰り返してそれぞれ2枚ずつ配る。
 客はカードが配られる前に右手プレイヤーサイドでも左手でも、または双方にでも賭け金を賭けられるが、すべてバンカーに対抗するものである。バンカーは左右二手のプレイヤー手札との勝負なので3枚目を引くバカラの基本ルールは無く、左右それぞれに対して引く、引かないを選択できる。このへんはオイチョカブの親と同様である。なお、プレイヤーサイドのナチュラルはバンカーサイドが3枚目を引いた合計の8、9に優先するのはもちろんである。

(2)シェマン・ド・フェール -Chemin De Fer- (ヨーロッパタイプ)
 フランス語で鉄道を意味するこの名前は、テーブルの上をカードシュー(カードを入れた箱。これからカードを引き出して配る)が順番に移動するさまが、フランスでこのゲームが流行った頃に登場した鉄道に似通っていることから付けられたものであろう。このゲームはイギリスではシェミイ(Chemmy)と呼ばれ、王侯貴族の遊びとしてもてはやされた。
 このゲームのバンカーは入札制度(オークション)である。プレイの準備が整うと、クルピエ(係員)が「皆さん幾ら賭けますか?」と声をかけ、最高額を提示した者がバンカーを一手に引き受ける。他の客はバンカーの申し出金額内でプレイヤーサイドに賭けることになる。1回の勝負が終わり、バンカーサイドが負けるとカードシューは反時計周りで次の客に移っていく。こうして勝負が繰り返され、カードシューのカードが無くなると新しいカードが準備されて再びバンカーの引き受け手を募集するオークションが行われる。
 ルールは基本ルールと同じであり3枚目を引くのもクルピエ任せであるが、このゲームは非常に格式張った手続きがとられ、貴族の遊びという趣がある。

(3)プント・バンコ -Punto Banco- (アメリカンタイプ。いわゆる大バカラ)
 ラスベガスでバカラが人気となったのは、ヨーロッパタイプのバカラと違ってゲームルールからオプション(選択肢)を無くし、単純明快にしたこと、カジノが全ての賭け金を引き受けたこと、さらに後述するミニバカラを開発して庶民化したことなどによる。
 アメリカンタイプでは客はバンカーサイド、プレイヤーサイドのどちらにも賭けられるだけではなく、引き分け(Tie)にも賭けられる。配当はプレイヤー、バンカーどちらに対しても1対1であるがバンカーサイドに賭けて勝った場合、カジノのコミッションとして5%を差し引かれる。これはゲームのルール上バンカーサイドが若干有利であることによる。引き分けに賭けた場合の配当は1対8である。なお、カジノのコミッション5%はヨーロッパスタイルのバカラでも同じである。
 アメリカンタイプでは格式張った手続きは無くなったと書いたが、それでも一定の形式はある。ゲームはテーブルに座った客が順番にバンカーを引き受ける形になりカードシューが反時計周りに渡されていく。もちろんバンカーになることを拒否することもできる。バンカーになった客はプレイヤーサイドに1枚目と3枚目を配り、2枚目と4枚目をバンカーサイドとしてカードシューの下に挟んでおく。ディーラーはプレイヤーサイドに配られたカード2枚をプレイヤーサイドに最も高額を賭けた客に渡す。カードの見方、開け方、ディーラーへの戻し方などに特別なルールは無い。
 なお、カードシューを巡回させることを止め、ディーラーがカードを配る方式のカジノもある。その場合、カードを最初に見る権利はプレイヤー・バンカー、それぞれのサイドに最も多く賭けた者に与えられる。

(4)ミニバカラ(アメリカンタイプ)
 これはラスベガスで開発された。ルールは大バカラと同じだがディーラーがすべてを管理し、客がカードに触れることはない。大バカラに比べてゲームのスピードは速く、ミニマム(最低賭け金額)もブラックジャック並みに低くなり、庶民的で面倒な手続きはいっさい無くなった。

4、控除率

 バカラはバンカー側もプレイヤー側も自動的にプレイされるので(ヨーロッパタイプでは若干オプションがある)、それぞれの勝率を計算できる。引き分けは賭け金が戻ってくるので無視できるから、複数デッキでカードがまだ使われていない状態では、バンカー側の勝率は50.68%、プレイヤー側は49.32%である。こういった勝率に基づき、さらにバンカーへのコミッションを差し引いて計算された、バカラの種類ごとの控除率は以下の表の通りである。
バカラの種類 賭ける場所 配当 控除率
バンク・ア・トゥーバ プレイヤーサイド 1対1 0.92%
シェマン・ド・フェール プレイヤーサイド

バンカーサイド
1対1

1対1
1.23%

1.06%
大バカラ、ミニバカラ プレイヤーサイド

バンカーサイド

タイ(引き分け)
1対1

1対1

1対8
1.36%

1.17%

14.20%


4、勝ちパターンのシミュレーションソフト

バカラで、次にバンクが勝つかプレイヤーが勝つか、はたまたタイが来るか、予想することは不可能である。
しかし、大金を賭けるためには何か理由をつけて納得したいのが人間である。このため、マックさんにより出目表のデータを元に、勝つためのパターンを分析する
シミュレーションソフト(Windows用、365K)が開発された。自分の戦った出目表のデータを入れてやれば、どういう賭け方をしたら勝ったのか、瞬時に判断してくれる。もしも、このソフトをカジノに持ち込んでプレイ中にシミュレートしたら・・勝てるかも知れない。
もっとも、その前にカジノから追い出される可能性大であるが。(笑)


5、おわりに

 バカラは基本的には丁半博打である。カードを使うのでブラックジャックのようにカウンティングをすれば必勝法があるように思えるが(残りカードに小さい数が多ければプレイヤー側が有利、大きいカードが多ければバンカー側が有利と言われる)、1回のゲームでの使用カード枚数が少なく、あいだに捨てカードもされるので、6~8デッキのカードをカウンティングすることは不可能である。バカラに必勝法は無く、結局はプレイヤーの経験と勘に頼るしかない。ただし、カジノ側の控除率が1%余りと低いので、他のゲームに比べて有利とは言える。


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