今回は「構想法」という本格的な作図法です。詰碁では筋が面白いことが大切ですから、こんな筋で詰碁を作ろうと構想を立てて、それを実現する図を考え出す方法です。
詰碁を解く場合にはシラミツブシに読むのは効果が悪いのですが、作図の場合はメモを取りながらシラミツブシに調べる方が間違いありません。 特にこの構想法では「出来た」というヌカ喜びから勝手読みに陥りやすいものなので、とりあえず2図は詰碁になっているようです。 ただし2図は隅の六目を知っている人には見え見えで面白くありません。そこで「詰め上がり隅の六目」という構想に何かをプラスしようと考えるのです。2図では中央の眼を奪う詰碁だったわけですが、後手1眼の形にも色々あります。中央でもホウリコミで眼を奪う形がありますし、その準備として2目にして捨てることも可能です。 ここからが作図のセンスになります。中央で2子にして捨てる筋と、隅の六目をもっと高度に組み合わせられないかと考えるのです。そういう構想を立てた後は「何とかものにしてやる」という粘りと根性の試行錯誤になるのです。完成したときの満足感を知っているからできることかもしれません。頂上に到達するために苦労する山登りに例えることができそうです。 詰碁の作図は随分と手間のかかることのように思われたかもしれませんが、慣れればだんだん速くなります。4図は、構想を立てた後、5分ほどで作図したように記憶しています。 第1回に紹介した「生死不明形の検討法」から始めて、稲妻型の石の下の4子をすべて着手で生じさせるという構想を得て完成させた拙作を紹介します。 白2、4、6、14が稲妻型の石の下を生じる4子です。それらが初形に全くないところが珍しいと自負しています。 この構想を成立させるのに3ヶ月、検討と余詰め消しに10年を費やした、思い出深い作品です。 これで私の主要な作図法が出そろいました。以下の三つです。
第1回で紹介した「包囲緩和法」のような細かい作図法は後の話題として、次回は「良い詰碁」について書く予定です。 |