第4回に前田陳爾先生の「創作詰碁の条件」を紹介しました。ポイントは、第1が作品のオリジナリティ、第2が筋、第3がスタイルでした。発表する場合はオリジナリティは必須ですし、筋の問題も当然です。ただし、第3のスタイルに関しては、そこまでこだわる詰碁作家はそう多くないような気もします。
2図は悩むところもない3手詰めで、3図の黒3で白のダメヅマリということが見えるかどうかだけの初心詰めです。 それなのに私の手がとまったのは、見た瞬間に「石が多い」と感じたからなのです。同じ手筋をもっと少ない石数でコンパクトに表現できるはず、と。 これは辺の詰碁として表現されているので、単純に隅に移動するだけでも少し石を減らせます。それが4図ですが、これは頭の中でできることです。 4図が浮かべば白のアタリと黒のツギを省いた5図も浮かびます。これを起点に2手逆算したのが6図なのです。正解手順はもうお分かりでしょう。黒ハネ白コスミ黒アテ白ツギ黒ツキアタリに白アテ黒ツギの7手詰めですね。 初手の紛れと7手めの皮肉さで水準作であると思っています。6図は2図を移動法で隅に持って行って少し逆算しただけの詰碁です。それでも、模倣や焼き直しの類と非難されるものではないと思います。移動の結果として紛れが増えただけではなく、詰め上がりのダメヅマリが見えにくくなったという+α が生じているからです。2図を見て詰碁のネタになると思ったのは経験のなせる技なのでしょうけれども。皆さまも色々試してみてください。 本誌掲載後に6図(1図)に初手ハサミツケも成立する余詰が見つかりました。修正図は以下のとおりです。
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