(中手とセキ) 中手に三目、四目、集四、五目、花五、花六、隅の曲四の7種があることは常識でしょう。
初心者に中手が死形であることを説明するのは手間がかかることもご承知の通りです。しかし、これらの中手が死形という知識がその先の読みを省略させてくれるわけです。詰碁では中手でないようで必ず中手に導かれる死形や中手になりそうでセキにしかならない活形がよく用いられます。そういう形を覚えてしまえば、やはりその先の読みを省略できるので、詰碁をより速く解けるようになります。例を示します。
白は広いようですが、外ダメがつまると黒aで眼あり眼なしです。白aなら黒bで五目中手です。白cでも黒bです。 もう一つ例を示します。
本図も外ダメがつまると眼あり眼なしです。 白aと内ダメをつめたときに黒bの捨て石で五目中手です。
本図はすでに内ダメがつまっているので黒aで眼あり眼なしです。さりとて白aでは黒bで五目中手です。 こういう形を「眼あり眼なしか中手の死」と言います。 外ダメが空いていれば白bで凌ぐ手段があります。
中手にはなりそうもないように見えます。しかし、冷静に眺めると、白はダメヅマリでaに打てず、白b2目トリ、黒トリカエシとなって五目中手です。
狭そうですが、aとbが見合いのセキです。
18図 活形本図は周知のセキです。これと紛らわしいのが次図です。
19図 死形場所が隅だから、と覚えていただければよいかと思います。外ダメがつまると白はアタリになり、黒の三目を取らざるを得ないので三目中手です。
本図は14図と同様です。ダメヅマリで白aのオシツブシが打てず、白bトリ、黒トリカエシで隅の曲四です。 こういう形は他にもいろいろありますので、多くの詰碁に接して少しずつ覚えていただくよりありません。 ところで、「詰碁に強くなる法」の第1回のテーマが「やさしい詰碁をたくさん覚える」でした。これを単純な丸暗記と誤解しないでいただきたいものです。やさしい詰碁でも、きちんと読んで、変化や紛れも確認して、正解手順の意味を理解していただきたいものです。さらに詰碁を一度解いただけで終わりにせず、何日か後に改めて解き直すことが大切なのです。それを繰り返すうちに、見た瞬間に正解手順が浮かぶ「睨み詰め」もできるようになるのです。やさしい詰碁を繰り返し解くことは、打碁の前のウォーミングアップとしても最適といわれています。 今回のテーマは「中手とセキ」でした。 |