(詰碁に強くなる法第5回)「眼欠きの筋」
塚本惠一 著 [詰碁世界第6号(2000年7月発行)掲載]


(眼欠きの筋)
今回から詰碁によく用いられる筋を一つずつ紹介していきます。今回は瀬越憲作先生の命名と思われる「眼欠きの筋」です。眼欠きの筋は耳慣れないかも知れませんが、「3目の真ん中」は有名でしょう。3目の真ん中は眼欠きの筋の一つです。

1図 黒先白死
2図 1図の解
黒1が3目の真ん中です。この黒1が左方に渡る事を防げないので白死となります。

3図
眼欠きの筋の名前について説明します。
3図のように黒★に打たれると白はアとイに打ってもアの左を眼にできないわけです。
橋本宇太郎先生は「はすかいにノゾクは急所」という言い方をされていました。

4図 黒先生き
5図 4図の解

6図 黒先白死
7図 6図の解

眼欠きの直接の狙いはウッテガエシの筋です。殺しにいく場合はウッテガエシを防ぐツギを打たせて眼形を奪うことが多いのです。7図黒1が眼欠きの筋で、白2と抵抗しても黒3で白4につぐしかなく黒5で隅の曲四の死となります。

8図 黒先白死
9図 8図の解
9図黒1も眼欠きの筋ですが、狙いは少し高級で黒5の詰め上がりになってはっきりします。白は2の左に打てません。

10図 黒先白死
11図 10図の解
2図で眼欠きの筋の石が周囲の石と関連している例を示しましたが、11図はサガリキリと眼欠きの筋の連携です。白はどうしても黒1を取れません。

12図 黒先白死
13図 12図の解
前図の応用問題です。黒3となれば黒1が眼欠きの筋を先に打ったことになるわけです。

14図 黒先白死
15図 14図の解
黒1も眼欠きの筋を知っているからこそ打てる手でしょう。

16図 黒先コウ
こういう詰碁が厄介なのですが、まずは狭める基本のオサエ(ア)やアテコミ(イ)を読んでみます。それらが失敗することを見極めてから知っている手筋が使えないかを考えます。眼欠きの筋は角の切れているところから桂馬の位置ですからaやbを候補として読んでいくわけです。

17図 16図の解
黒1が眼欠きの筋です。白2で5の所なら黒4の所にコスミツケるのがやはりウッテガエシ狙いです。白2に黒3で白4のツギを強要するのも前に示したのと同じです。
そこまで工作してから黒5とオサエれば、白に無条件で生きる余地がなくなっているという詰碁です。


今回のテーマは「眼欠きの筋」でした。


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