(サガリの筋) 広げて生きるためのサガリは基本ですが、今回は捨て石やコウ封じなどの少し高級なサガリの筋を紹介します。1線に打つのでサガリの筋ともいいます。 1図の隅の黒2子は2の二のハサミツケで取られています。2図のツキアタリは先手ですが、生きる広さはなさそうに見えます。本形では3図の黒1サガリが手筋で、3子にして捨てた効果で2眼の生きです。
4図は高級な詰碁ですが、先のサガリの筋が狙いであることは見やすいでしょう。ただし、あわてて5図の黒1黒3と打つのでは白4で狭められて困ります。6図の黒1が眼形の急所です。白2と交換してから黒3黒5のサガリの筋を使うのが正しい手順です。以下黒11まで2眼の生きです。手順中、白6で7なら黒9のツケがあります。これが黒1の効果です。こういう詰碁は、サガリの筋からの6図の詰め上がりを予想して、失敗の5図を読んだ後に1の所や11の所を先にしてはどうか、と考えるのです。 サガリの筋を知らない場合なら黒1で5図の2の所にハネて広げる基本から読むことになります。それがコウと分かれば、無条件はないか、と追求して、5図の黒1黒3の捨て石を発見する、という順になります。とは言え、それには相当な読みの力が必要ですから、この講座で紹介している詰めの手筋を理解しておくことが重要になるのです。
7図は中級の詰碁です。8図の黒1で簡単そうですが、そこは詰碁で、白2以下のコウ狙いが用意されています。 8図を読んだときに6の所が急所と気付けば話は簡単で、9図の黒3のサガリが正解と知ることができるわけです。この黒3サガリはコウ封じであると同時にワタリの筋であるわけです。
サガリの筋がワタリの筋になることを知っていれば、10図の詰碁などは睨み詰めといきたいものです。11図の黒1サガリで白に抵抗の余地はありません。
12図、コウ封じのサガリをもう一例。 13図の黒1には白2が粘りのある受けで無条件では殺せません。その急所を14図の黒1で奪えば白死という詰碁です。14図の黒1は直感で浮かぶ手ではないと思います。「敵の急所は我が急所」の考え方に慣れることをおすすめします。 (ハシリの筋) 狭めて殺すのが基本ですが、狭める際はヨセの気持ちで考えると巧くいくことが多いものです。15図の詰碁なら16図大ゲイマの黒1で白は即死です。
もちろん例外もあって、17図のような詰碁で18図の黒1のハシリを先にすると白2白4で凌がれます。19図の黒1を先に打つのが手順であっさり死ぬので、筋の良い人にはそう時間がかかる問題ではありません。こういう詰碁を速く解くのは経験です。
20図の詰碁の場合は21図の大ゲイマは進みすぎになります。22図の黒1と小ゲイマに控えるのが正着です。20図は実戦にも生じる基本詰碁で、変化や紛れに色々な手筋が含まれています。
例えば23図の黒1から黒3には24図の白4から白6が手筋で白生きです。 |