(詰碁に強くなる法第7回)「トビの筋、オキの筋」
塚本惠一 著 [詰碁世界第8号(2001年1月発行)掲載]


前回「筋を一つずつ紹介」と書きましたが、基本的な筋を書き出してみたところ、以下の30近くは省けないようです。
・眼欠きの筋・コスミ・トビ・オキ
・サガリ・ハシリ・ハサミ・ツケ
・ツケコシ・ワリコミ・ウチカキ・ウッテガエシ
・オイオトシ・ホウリコミ・捨て石・石の下
・大中手・ダメヅマリ利用・左右同形の中央・両睨み
・ハネの利用・外石の利用・敵の弱点の利用・絶隅の利用
・1の一・2の一・黙りの筋

皆さまの実力向上に期待して少しペース・アップさせていただきます。疑問の点はご遠慮なくお尋ねください。

(トビの筋)

1図 黒先白死
2図 失敗
3図 1図の解
まずは狭める基本で2図の黒1、3を読むものですが、白4の眼持ちで生きです。黒1で黒3のサガリでも白4の所で同じことです。
3図の黒1トビが知らないと気付かない手筋で、白2に黒3が成立して白死となります。一線へのトビが最も白を狭めていることになるわけです。

4図 黒先白死
5図 4図の解
5図、少し離れた黒2子とも黒1のトビでつながります。

6図 黒先白死
7図 6図の解
8図 つづき
6図は1図、4図の応用問題です。7図黒1から黒3がすぐに浮かぶようなら詰碁の腕が上がった証拠です。
8図白4の抵抗が悩ましいのが実戦形らしいところです。黒5以下黒9まで、眼あり眼なしか五目中手の形でしとめるのが味が良さそうです。この後白が内ダメをつめてくれば、内ダメが一つの時点で5の右に打って中手です。
黒5で8の所、白8の下、黒5の所の方が基本の感もありますが、白4の上からの脱出の味もあって得失は微妙です。

9図 黒先生き
10図 9図の解
10図、取られている石を利用する詰碁で黒1のトビの狙いは黒3のサガリです。

11図 黒先生き
12図 11図の解
12図、黒1のトビが隅を先手一眼にする手筋です。白2から白4の抵抗には基本通りの黒5黒7のハネサガリで生きです。


(オキの筋)
13図 黒先白死
14図 13図の解
15図 失敗
14図、こういう一線のオキも記憶していただきたい手筋です。
15図の黒1以下がコウであることを読んで、「敵の急所は我が急所」で14図のオキを発見する、というのは言うに易く行うに難いものでしょう。

16図 黒先白死
17図 16図の解
17図、1の所を白に許すと凌がれますから、黒1のオキはこれしかありません。黒1オキと黒3サガリの連携で眼を奪う基本手筋です。

18図 黒先白死
19図 18図の解
20図 失敗
19図は実戦によく生じます。黒1から黒5で五目中手の死です。白2で1の右なら黒5の所のハサミツケです。
失敗図の黒1は手順前後で黒3には白4で黒1の石が逃げられません。黒3で4の所なら白3の所でセキです。

21図 黒先白死
22図 21図の解
これも実戦形ですが、実戦では黒1のオキを発見できる方は実力者と言えると思います。白には抵抗の余地がありません。
23図 黒先生き
24図 23図の解
黒1のオキで先手一眼です。



[前ページ]   目次   [次ページ]