(左右を見合う筋) 「左右同型中央に手あり」は有名な格言です。
左右同型の配置は美しいものですし、その中央に打つのが正解というのは幾何学的で理解しやすい手筋です。この格言を知っていれば、次図のような絶妙の初手も比較的容易に発見できてしまいます。
黒1のツケは詰碁と言われなければ発見できそうもない絶妙の一手です。黒1で3は白4、黒1で2も白6でお手上げの形ですし、黒1で2の下に飛ぶ筋も、白6、黒8、白7で、コウにするのが精一杯なのですから、正解の黒1には感嘆させられます。 白2で6は黒9、と、左右どちらでも同じ、というのは当たり前のようです。しかし、中央に打てば「左右が見合いになる」というのがこの筋の本質なのです。
5図も玄玄碁經から採ったものです。左右同型ではありませんが、6図の黒1が左右を見合う筋です。白2には黒3で集四の4子を取られても石の下で眼があります。白4には黒5で稲妻型の4子を取られてもやはり石の下、という楽しい形です。
こういう黒1も「中央に手あり」の例とされることが多いのです。
外から打って左右を見合います。「中央を探す」よりも「左右を見合う」考え方の方が、応用範囲が広く、役に立つと言えます。 |